Dental trauma

ぶつけた歯を残したい方へ

もし歯をぶつけてしまったら・・

日常生活やスポーツ中の転倒・衝突などで、歯をぶつけたり折ったりする「歯の外傷」は、見た目に大きな異常がない場合でも、注意が必要です。
受傷直後には痛みやぐらつきがなくても、時間が経ってから症状が現れることがよくあります。ぶつかった衝撃で歯の内部にある神経や血管の血流が止まると、歯が少しずつダメージを受けて「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」という現象が起こることがあります。放っておくと最終的に歯を失ってしまう可能性もあります。

そのため、歯をぶつけた場合は「大丈夫そう」と思っても、できるだけ早く歯科医院を受診してください。受傷直後の診察と、その後の定期的な経過観察がとても重要です。
とくにお子さまの外傷や、前歯の破損などは特に慎重に対応する必要があります。

  • 01

    最初の対応が
    予後を左右

    歯が抜けた場合は乾燥を防ぐことが重要です。できるだけ早くご来院ください。

  • 02

    早期対応で
    歯の残せる場合も

    歯の外傷は早急な治療が鍵です。適切な初期対応によって、歯を抜かずに残せる可能性が高まります。

  • 03

    外傷後の
    経過観察が重要

    見た目に異常がなくても、時間が経ってから症状が出ることがあります。定期的な診察をおすすめします。

永久歯での外傷の種類

歯冠破折
症状として、エナメル質のみ・エナメル質~象牙質 露髄なし、エナメル質~象牙質 露髄あり、歯冠~歯根破折 露髄なし・露髄ありなどの症状によりパターンがあります。
歯根破折
歯冠破折と歯根破折は外傷(ケガ)でも起こり得ますが、これは永年の咬合力によって小さな亀裂が生まれ、ストレスの蓄積により破折することが多いということです。ですから、年を老えば老うほど破折のリスクは高くなることが言えます。
歯槽骨の骨折
歯を支える骨が割れる外傷で、外見からは判別困難ですが、激しい痛みと歯の動揺が現れます。複数の歯が同時に影響を受けることが多く、外科的処置による治療が必要です。
震盪(しんとう)
外力により歯根膜、歯槽骨、歯肉といった歯の周囲組織が損傷し、炎症を起こした状態です。歯自体は正常位置にあり動揺も見られないものの、組織の内出血により触診時の痛みが生じます。
亜脱臼
転倒、衝突、スポーツ事故などの外傷により、歯が抜けかかった状態を指します。歯槽骨内には留まっているもののグラグラと動揺し、不安定です。子どもや部活動中の学生、スポーツ選手に多発します。
挺出(ていしゅつ)
歯が本来の位置から飛び出すように浮き上がった挺出性脱臼です。上顎歯では下方向へ、下顎歯では上方向へ変位し、隣在歯より明らかに長く見えます。支持組織からの部分的な離脱により、歯髄への血流が途絶える可能性が高い外傷です。
側方脱臼
歯が横方向(唇側または舌側)へ大きく変位した脱臼です。歯根膜の血流は部分的に残存するものの、変位が大きいため歯髄への血流は完全に断たれている可能性が高く、整復後も慎重な経過観察と根管治療の検討が必要です。
陥入
外傷により歯が顎骨内に押し込まれた状態で、完全陥入では歯が完全に埋没し、部分陥入では隣在歯より短く見えます。若年者では自然挺出の可能性もありますが、多くの症例で外科的または矯正的な牽引処置を要します。
完全脱臼

歯根膜が完全に断裂し、歯が歯槽骨から脱落した状態です。脱落歯の歯根膜が良好に保存されていれば再植により機能回復が可能ですが、成功には保存方法、経過時間、患者年齢などの複数の条件が影響します。

外傷歯への対応

歯の外傷への対応は、外傷の種類や根の成長段階(年齢)によって大きく異なります。そのため、専門的な知識と正確な診査・診断が非常に重要です。

治療で最も優先すべきことは、「歯髄(歯の神経)の早期保存」と「根の成長を止めないこと」です。これを適切に行うことで、歯の健全な発育と長期的な保存が期待できます。しかし、対応を誤ると、歯の予後は著しく悪化します。

歯の外傷は初期対応が大切です

初期の対応が遅れたり間違ったりすると、歯の位置異常や炎症性吸収、置換性吸収といった重篤な合併症を引き起こし、歯の生存に深刻な影響を及ぼします。こうしたリスクを避けるためにも、歯の外傷があった際は早急に専門の歯科医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

Contact

お気軽にお問い合わせください

【診療時間】10:00-13:00/14:00-18:00 
【休診日】日曜・その他不定休

もし歯が完全脱臼したら・・・

もし何かしらの外傷で、歯が完全脱臼したら、まずはすぐに歯科医または歯科専門家の診察を受けることが最も重要です。
脱臼した歯の予後は、歯を支える「歯根膜」の生死によって大きく左右されるからです。
歯の周囲にある歯根膜は非常にデリケートで、乾燥すると30分程度で完全に壊死してしまうため、脱臼した歯は決して乾燥させてはいけません。
歯根膜を守るためには、体液に近い浸透圧をもつ溶液(例えば、専用の保存液や牛乳、生理食塩水など)に浸して保存し、歯根膜の乾燥を防ぐことが大切です。
こういった適切な処置を迅速に行うことで、歯の再植の成功率が高まり、長期的な歯の保存につながります。
もし歯が脱臼した際は、来院前に以下の対処方法を実践し、落ち着いて速やかに専門機関を受診してください。

  • まず歯を脱臼したらを落ち着きましょう。
  • 歯を見つけて歯冠(白い部分)をつまみます。歯根に触れないようにする。すぐに顎に戻すようにしてください。
  • 歯が汚れている場合は、牛乳、生理食塩水、または患者の唾液でやさしくすすぎ、植え替えるか、顎の元の位置に戻してください。
  • 患者さん本人/保護者/教師/その他の人に、緊急部位にすぐに歯を再植するよう促すことが重要です。
  • 歯が顎の元の位置に戻ったら、患者はガーゼやハンカチ、ナプキンを噛んで固定しましょう。
  • 事故現場での再植が不可能な場合、または意識不明の患者さんなど、剥離した歯の再植が不可能な場合は、できるだけ早く、救急現場ですぐに使用できる保管または輸送媒体に歯を入れる。これは、分で起こり始める歯根表面の脱水症状を避けるため、迅速に行う必要がある。好みの高い順に並べると、牛乳、HBSS、唾液(例えばコップに唾を吐いた後)、生理食塩水が適切で便利な保存媒体です。※水は貧弱な媒体であるが歯を自然乾燥させるよりは良いため。
  • その歯は、患者さんと一緒に搬送されるべきなので、一緒にお持ちください。

以上、国際外傷歯学会ガイドラインより引用抜粋。
International Association of Dental Traumatology guidelinesfor the management of traumatic dental injuries: 2. Avulsion ofpermanent teeth Ashraf F. Fouad1 | Paul V. Abbott2 | Georgios Tsilingaridis3,4 |Nestor Cohenca5 | Eva Lauridsen6 | Cecilia Bourguignon7 | Anne O’Connell8 |Marie Therese Flores9 | Peter F. Day10 | Lamar Hicks11 | Jens Ove Andreasen12 |Zafer C. Cehreli13 | Stephen Harlamb14 | Bill Kahler15 | Adeleke Oginni16 |Marc Semper17 | Liran Levin
Dental Traumatology. 2020;36:331‒342.

症例紹介

歯根吸収侵襲性歯頚部吸収外傷歯

侵襲性歯頚部吸収・歯根吸収

Before

After

主訴見た目を治したい
治療内容6年前にサバイバルゲームでBB弾が歯に当たり、歯が欠けた。
歯髄診査では、11,21ともにEPT+、Cold+。11は侵襲性歯頚部吸収、21は内部の炎症性吸収と診断。また、11にはパーフォレーションも認めた。

21は根管治療、ダイレクトボンディングにて対応。

11は、歯冠部の審美に対してはダイレクトボンディングにて対応。
まず侵襲性歯頚部吸収による吸収部を粘膜剥離しバイオデンティンにて外部より封鎖。後日、パーフォレーション部をバイオデンティンにて根管内部よりリペア。歯髄は正常と診断したが、予防的に根管治療を行うこととした。歯冠部からのアクセスが困難だったため、逆根管治療(歯根端切除術)にて対応。
治療期間・治療回数5回 / 4ヶ月
治療費用根管治療 110,000円
支台築造 11,000円

外部修復 55,000円
穿孔修復 33,000円
歯根端切除術 143,000円
リスク・副作用・治癒不全の際は、外科的歯内療法が必要となります。
・歯を削る必要があるため破折などが起きる可能性があります。
・再発する可能性があります。
・保険診療範囲外の自費診療になるため費用が高くなる場合があります。