Root resorption

根が溶けた歯を残したい方へ

歯根吸収とは

歯根吸収には一過性のものと進行性のものがあり、この鑑別が非常に重要です。一過性の歯根吸収は自然に治癒するため、特に治療を行う必要はなく、むしろ不適切な介入は避けなければなりません。一方で、進行性の歯根吸収は放置すると歯の喪失につながるため、早期発見と早期治療が極めて重要です。

以上のように、歯根吸収は原因や状態により適切な対応が異なるため、正確な診断と慎重な管理が求められます。

歯根吸収の原因

歯根吸収の原因は大きく「感染性」と「非感染性」に分類されます。具体的には、矯正治療による力の負荷や外傷、虫歯(カリエス)、切削時の過度な発熱などが挙げられます。これらの刺激が歯根の吸収を引き起こすことがあります。

歯根吸収の種類

1

表面吸収

歯根の表面吸収とは、歯根の外側の表面が部分的に吸収される現象のことを指します。これにはさまざまな原因があり、その背景に応じた適切な対応が必要です。
主な原因としては、矯正治療による歯にかかる力や、智歯(親知らず)による圧迫、そして外傷などが挙げられます。特に根尖性歯周炎の場合は、感染が歯根の周囲に炎症を引き起こし、歯根吸収を進展させることがあります。この場合は歯内療法(根管治療)が必要となります。
また、智歯が隣接する歯に圧力をかけると、歯根の表面吸収が起こることがあります。このような場合には、圧迫の原因となっている智歯の抜歯がすすめられます。
歯根の表面吸収は、早期の治療が必要な場合と、治療をしない方が良い場合があります。なるべく早期に、原因をしっかりと見極めることが大切です。

2

炎症性吸収

炎症性吸収は、感染性の歯根吸収で、中等度〜重度の外傷、虫歯などによる細菌により起こります。
分類としては、外部性炎症性歯根吸収と内部性炎症性歯根吸収に分けられます。

  • 外部吸収

    炎症性外部吸収は重度の外傷と感染が原因で起こり、進行が非常に早いのが特徴です。数週間で歯根の大部分が吸収されるため、歯の位置が変わるほど強くぶつけた場合などは、注意深く診査する必要があります。

  • 内部吸収

    炎症性内部吸収はカリエスなどの感染が原因で起こり、歯の内部から吸収が進行します。早期に発見し適切な治療を行うことが重要です。

3

置換性吸収

アンキローシス(骨性癒着)とも呼ばれ、歯根が骨に置き換わる現象です。重度外傷、特に歯が完全に抜けた後に起こりやすくなります。
進行を止めるのは難しく、歯と骨が一体化すると矯正での歯の移動が不可能です。
重度の外傷を受けた際は、置換性吸収に移行しないよう、早期の正しい処置ができるかが重要です。これらの処置によっては移行を避けられることもあります。

4

侵襲性歯頚部吸収

侵襲性歯頚部吸収とは、歯と歯ぐきの境目である歯の頸部にできる歯根吸収の一種で、歯の位置が変わるほど強くぶつけた場合などは、注意深く診査する必要があります。

炎症性吸収の症例

歯根吸収侵襲性歯頚部吸収外傷歯

侵襲性歯頚部吸収・歯根吸収

Before

After

主訴見た目を治したい
治療内容6年前にサバイバルゲームでBB弾が歯に当たり、歯が欠けた。
歯髄診査では、11,21ともにEPT+、Cold+。11は侵襲性歯頚部吸収、21は内部の炎症性吸収と診断。また、11にはパーフォレーションも認めた。

21は根管治療、ダイレクトボンディングにて対応。

11は、歯冠部の審美に対してはダイレクトボンディングにて対応。
まず侵襲性歯頚部吸収による吸収部を粘膜剥離しバイオデンティンにて外部より封鎖。後日、パーフォレーション部をバイオデンティンにて根管内部よりリペア。歯髄は正常と診断したが、予防的に根管治療を行うこととした。歯冠部からのアクセスが困難だったため、逆根管治療(歯根端切除術)にて対応。
治療期間・治療回数5回 / 4ヶ月
治療費用根管治療 110,000円
支台築造 11,000円

外部修復 55,000円
穿孔修復 33,000円
歯根端切除術 143,000円
リスク・副作用・治癒不全の際は、外科的歯内療法が必要となります。
・歯を削る必要があるため破折などが起きる可能性があります。
・再発する可能性があります。
・保険診療範囲外の自費診療になるため費用が高くなる場合があります。

侵襲性歯頚部吸収について

侵襲性歯頚部吸収とは、歯の根元(歯頚部)に外側から起こる進行性の歯根吸収です。虫歯と勘違いされることが非常に多く、適切な診査により、早期に正しい対応をすることが重要です。しかし、痛みなどの症状が乏しいことが多く、見た目やレントゲンでもわかりづらく、多くのものが見過ごされていると思われます。100人に2人ほどは、この吸収をもっていると言われています。

侵襲性歯頚部吸収の診断方法

侵襲性歯頚部吸収は、自覚症状がないことが多く、レントゲン、CTにて偶然発見されることがほとんどです。また、虫歯であると誤診されることが多く、しかし、虫歯とは異なる対応が必要なため、正しい対応が求められます。

そのためには、CTによる精密な診査を行い、適切な治療計画を立てることが重要です。

侵襲性歯頚部吸収の症状の特徴

この吸収は進行性であり、放置すると歯の失活や抜歯につながることがあるため、早期発見・早期対応が重要です。しかし、状況によっては積極的な治療を行わず、経過観察が望ましいこともあります。

発症してしまう原因

吸収の発生や進行を維持する具体的な要因はいまだ明らかになっていません。原因については多因子性であり、外傷や矯正治療などがリスクとして指摘されており、特に矯正治療を受けた方、矯正治療を受けている最中の方はご注意ください。
また、吸収開始点が歯の付着上皮内に位置しているため、治療の難易度が非常に高い点も特徴です。

侵襲性歯頚部吸収の治療法

健康な歯質を残しながら感染部分だけを取り除く保存療法を優先します。抜歯は最終手段とし、歯の構造を守りながら長期保存を目指します。

主な副作用とリスク

  • 保険診療範囲外の自費診療になるため費用が高くなる場合があります
  • 治療方法によっては期間が長くなる可能性があります
  • 治療後の経過観察も続けることが重要です

侵襲性歯頚部吸収の症例

歯根吸収侵襲性歯頚部吸収外傷歯

侵襲性歯頚部吸収・歯根吸収

Before

After

主訴見た目を治したい
治療内容6年前にサバイバルゲームでBB弾が歯に当たり、歯が欠けた。
歯髄診査では、11,21ともにEPT+、Cold+。11は侵襲性歯頚部吸収、21は内部の炎症性吸収と診断。また、11にはパーフォレーションも認めた。

21は根管治療、ダイレクトボンディングにて対応。

11は、歯冠部の審美に対してはダイレクトボンディングにて対応。
まず侵襲性歯頚部吸収による吸収部を粘膜剥離しバイオデンティンにて外部より封鎖。後日、パーフォレーション部をバイオデンティンにて根管内部よりリペア。歯髄は正常と診断したが、予防的に根管治療を行うこととした。歯冠部からのアクセスが困難だったため、逆根管治療(歯根端切除術)にて対応。
治療期間・治療回数5回 / 4ヶ月
治療費用根管治療 110,000円
支台築造 11,000円

外部修復 55,000円
穿孔修復 33,000円
歯根端切除術 143,000円
リスク・副作用・治癒不全の際は、外科的歯内療法が必要となります。
・歯を削る必要があるため破折などが起きる可能性があります。
・再発する可能性があります。
・保険診療範囲外の自費診療になるため費用が高くなる場合があります。